身のまわりにある空気の中に21%存在する酸素分子は〔O2〕で表されますが、量子化学の分野では基底状態で「三重項酸素」〔3O2〕とも呼ばれます。

これにエネルギーが加わって励起状態になったものが「一重項酸素」〔1O2〕です。一重項酸素は他の物質を酸化反応によって変化させ、自身は元の酸素に戻ります。

一重項酸素は活性酸素種の一つですが、比較的丈夫な生物の細胞は破壊することが少なく、一方で微生物であるウイルスやイオン化された物質および電子が豊富な物質に対しては有効に働くとともに、大気中では10-3秒、水中では10-6秒というごく短時間で元の酸素に戻る早業をやってのけます。

 

一重項酸素発生の方法

一重項酸素の生成方法には、液体の過酸化水素と塩素ガスを反応させる液相-気相方法がありますが、当社が特許取得している生成方法は固相-気相の方法によるもので、固体に光増感剤の膜を形成してその固相膜に光と酸素気体を接触させて、一重項酸素を発生させます。(以下模式図)

できるだけ透明な固体(ガラス・プラスチック・繊維・ゴム等)に光増感剤を固着させて、吸収され易い波長の可視光をあてることにより光化学反応が生じて、大気中では10-3秒、水中では10-6秒の短い寿命の一重項酸素が発生します。